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とっとりWEST vol.3

鬼太郎と海鮮の街「境港」に根付いて広がる“縁”

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この連載は... 家族を大切に思う気持ちは、どこに住んでいても、おなじ。でも、鳥取西部には、その気持ちにもっと正直な人たちがいます。時間の使い方は、あなたの生き方。鳥取西部と一緒に家族との時間について考えてみませんか。

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水木しげると海鮮の街「境港」

鳥取県西部の米子市から電車で1時間ほどのところにある「境港」(さかいみなと)。その名のとおり海と生きるこの街は、魚介類が有名です。

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たとえばこの「境港さかなセンター」は、西日本最大級の海産物専門店。乾物・水産加工品だけではなく、刺身や切り身、焼き物なども売られており、気に入った魚はその場で刺身用に捌いてもらえるとあって、観光客の方も多く訪れます。

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そして、もう1つの名物が「鬼太郎」。米子と境港を結ぶJR境線は「鬼太郎列車」とも呼ばれ、見た目から内装までが鬼太郎一色に。

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境港駅前からまっすぐ伸びる「水木しげるロード」にもカステラから日本酒まで、鬼太郎モチーフの商品がズラリと並び、観光客の目を癒しています。

境港に移り住んで“妖怪”になった男性と、その“きっかけ”

「初めて来たときにだいぶ感動しちゃって」

そう話すのは、島谷勇志(しまやゆうし)さん。妖怪のかぶりものをして店頭に立っていることから、“妖怪さん”の愛称で親しまれています。島谷さんが境港を初めて訪れたのは、2000年頃のこと。当時、地方紙の編集部に所属しており、提携していた地方紙との縁で境港に来たときに、その目新しい町おこしのスタイルに感銘を受けたのだと言います。

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「僕は旅が趣味で、全国の色々な土地を渡り歩いてきましたけど、マンガで町おこしをする場所なんて初めてでしたからね。前例がない取り組みを見て、驚きと感動が入り混じったような心地がしたのを覚えています」

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▲島谷さん発案の「ハートを持った目玉おやじ」

今でこそ、マンガの舞台となった土地を旅する「聖地巡礼」は観光の目玉になっていますが、2000年当時は前例がありませんでした。

唯一無二の町おこしのユニークさに惹かれ、プライベートでも足を運ぶように。そのきっかけになったのは、水木しげるロード沿いに並ぶ“あるお店”でした。

電気屋さんから職人になった“妖怪師匠”との出会い

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足しげく通った水木しげるロードの中でも、島谷さんが強い思い入れを持ったのは「妖怪ショップ ゲゲゲ」でした。

ここは元々、「野々村電機工業」という電気屋さん。ご主人の野々村さんが、「鬼太郎」で街を盛り上げようと、水木しげる先生の許可を取り、グッズを手作りし始めたのがはじまりでした。

ショップを始めた当時のことを、店主の野々村さんはこう、振り返ります。

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「水木しげる先生もご存命の頃は、ここによくいらっしゃったんですよ。“純粋に楽しいことをしよう”とおっしゃって、僕のつくるものを喜んでくれた。今でこそ“水木しげるロード”が観光地になっていますけど、その原点は“純粋に楽しもう”という気持ちからなんです」

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お店としてグッズを売ったり、お客さん自らの手でつくる体験をさせてあげたり、時々小さなプレゼントをしたりと、サービス精神旺盛な野々村さん。そんな野々村さんの姿勢に島谷さんは強い共感を覚えたと言います。

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▲精巧なつくりの目玉おやじも全て手作り。蓄光式で暗闇で光る工夫も。

「野々村さんは、旅人に優しいんですよね。街への愛情もモノへのこだわりも伝わるし、僕が最初に“面白い”と思った街づくりをしている人で、とても魅力的に映りました」

野々村さんの姿勢に心を打たれた島谷さんは、5年ほど前から出身地の三重と境港を定期的に行き来し始め、妖怪ショップゲゲゲの店頭にも立ち、境港に来たお客さんたちと交流し始めます。

移住を決意し、境港の地で“縁”を結ぶ人に

「妖怪ショップゲゲゲ」を通じて、境港の街づくりに参画してきた島谷さんですが、あるころから“物足りなさ”を感じるようになってきたのだそう。

「妖怪ショップゲゲゲはとても魅力的なお店だったんですが、店舗という特性上、どうしてもその良さを伝えきれないことにもどかしさを感じてしまって。この水木しげるロードや妖怪ショップゲゲゲの魅力を発信していきたいと思うようになりました」

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考えあぐねて島谷さんが出した結論は、「ゲストハウス」でした。元々、旅好きだった島谷さんが“旅人が出会う場”としてゲストハウスに行きついたのは自然な流れだったのかもしれません。

物件を探し始めてから半年ほどが経った3月、駅近で「妖怪ショップゲゲゲ」の裏にある物件が境港市の職員の紹介で見つかり、ゲストハウス計画が本格的に始動します。それに伴い、同年5月に島谷さんは生まれ育った三重県から、境港に移り住むことに。

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3カ月かけて古民家をセルフリノベし、8月にオープンさせたゲストハウスの名前は“縁”(えん)。コスパ先行でビジネス利用なども増えている都市型のゲストハウスではなく、水木しげるロードを旅する人にゆっくり楽しんでいただけるように、という島谷さんの想いがしっかりと込められたゲストハウスが完成しました。

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オープンから半年強経った現在、男女の比率は女性が7割ほど。ゲストハウスが初めてという“ビギナー”も多いのも特徴で、一人旅の女性や旅慣れていない人も安心。泊まった方々同士で和気あいあいと楽しく話す機会があり、「妖怪ショップゲゲゲ」でのキーホルダー制作体験に参加するお客さんもいるのだそう。

最後に、移住歴1年になった島谷さんに「境港の住みよさ」について伺ってみると、こんな答えが返ってきました。

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「境港は港町だから、昔から外からの人の出入りがあったでしょう。だからだと思うんですが、排他的な雰囲気を感じないんですよね。だから僕が、ゲストハウスを立ち上げたときもかなりやりやすかった。歴史のある街も素敵ですが、移住するなら、外部から来た人にやさしい街がいいんじゃないかなと思います」

おわりに

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海鮮の街にして鬼太郎の街、境港。移住者を受け入れてくれやすい風土を持つ土地ですが、移住せずとも、鳥取西部の街に住めば、ドライブがてら週末に気軽に出かけるのにちょうど良い距離です。

山あいの街もあれば、海の街もある鳥取西部。住むにも、自然の中で遊ぶにも、観光するにも楽しい環境が整っています。

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この記事を書いた人

佐々木 ののか

佐々木 ののか  

1990年北海道帯広に生まれる。筑波大学で国際開発学を学び、新卒でカバン屋に就職後、2015年6月より現職。ライター業では突撃取材に定評があるが、ジャンル・テイスト問わず幅広くこなす。共感性の高い文章を書くのが得意で、人間の葛藤や一見醜い感情に興味を惹かれる。関心があるテーマは、新しい夫婦・家族・関係性など。Wanderlustでは、「旅」をテーマにしたエッセイや小説を執筆していく予定。
Twitter @sasakinonoka

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