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メランコリック・メルヘン・ロード 〜那須編〜 vol.3

「ふわっ」「とろっ」 に我を忘れる、甘いワンダーランド

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この連載は... 「かわいい」と「スイーツ」、そしてわが子を愛する1990年生まれの大石蘭が、新しいときめきと癒しを求めて飛び出しさまよう旅のエッセイ! いつか見た夢の景色、甘い魅惑のお菓子、誰も知らない私だけの秘密の場所……日常を抜け出して妄想を繰り広げれば、そこはもう小さな旅の入り口。

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◆チーズガーデン那須本店

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ガーデン、と名のつくスポットに何度も訪れているこの旅。いい言葉だなと思う。

生活がパステルカラーに色づく、いこいの場所。気のおけない友達を呼んで、もてなす場所でもあって。「秘密の花園」、「シークレットガーデン」っていうのもすてき。

ガーデンのある家には住んでいないけど、心の中にガーデンがほしい。なんてことを思う。

 

那須の旅をしめくくるのは、「チーズガーデン」。おいしそうな響き。

たぶん、那須でいちばんイマドキでおしゃれな場所だ。

「御用邸チーズケーキ」が名物で、ショップのほかに、洗練された雰囲気のカフェもある。ショップはチーズケーキを求める観光客でいっぱいだけど、「お菓子の城」よりもカップル率がぐんと上がった。ここでデートなんてよさそう。藤城清治美術館のチャペルはプロポーズに使う人もいるそうだから、あのチャペルで結婚の約束をして、そのまま将来のことをふわふわとここのカフェガーデンで話すのがいい。こんなところ住んでみたい、って誰もが思うような、手入れがゆきとどいた緑に囲まれて、クリーンな空間だから。

定番の「御用邸チーズケーキ」をおみやげに買い、カフェに入ってみることにする。

パスタやサラダなどのお食事メニューもすごくおいしそうで、ゆっくりごはんを食べたい気もしてきたけれど、やっぱりここに来たからにはスイーツを食べなくちゃ。

甘いもので3食(またはそれ以上)を満たしてしまうのが私流の旅なのだ。

スイーツなら食事よりもちょこちょこいろんなものを食べられるから、旅の空気を余すところなく味わえるような気がする。ごはんばかりでおなかいっぱいになってしまうのは、もったいないと思ってしまうのだった。

パリひとり旅をした大学生のときは、マカロンを食べて5km歩いてカフェに行き、ケーキを食べては5km歩いて次のお菓子屋さんへ……の繰り返しで、スイーツを求めて歩き回っていた。

今回の那須の旅も、駆け足だけど、どうしてもこのスタイルになる。

チーズガーデンのカフェ「しらさぎ邸」のメニューをめくると、「焼きたてドイツ風パンケーキ」と「ゴールドプディング」が気になってたまらなかったけど、迷いに迷ってやっぱり定番メニューを選ぶことにする。せっかくチーズガーデンに来たことだし、3種のチーズケーキのプレートを。そして濃厚なものばかり食べているので、クレソンとフルーツのフレッシュジュースも一緒にたのむ。

やっとちゃんとテーブルについて、おいしいものでひとやすみする時間がきた。

本数の少ないきゅーびー号の時刻表を気にする緊張感からも、そろそろ解放かな。

まもなく運ばれてきたのは、「御用邸チーズケーキ」「フロマージュブラン」「しらさぎ」という3種類のチーズケーキが1カットずつ食べ比べられるプレート。

「御用邸チーズケーキ」は、酸味がひかえめでやさしい味の、しっとりしたベイクドチーズケーキ。「フロマージュブラン」は上のレアなチーズクリームがしゅわっと軽くて、土台のグラハムクラッカーがさくさくのアクセントになっている。「しらさぎ」は、ふわっ、とろっとした口どけの、濃厚な雪のようなチーズケーキ。それぞれ違った舌触りの白いさんかくを、少しずつフォークですくいとっていく。

ひと口食べては別のケーキ、というふうに、ちびちび味わいながら、ときどきクレソンジュースを飲む。なんのフルーツが入っているのか聞いてみたら、グレープフルーツとオレンジだそうで、爽快な苦みがチーズケーキの合間によくあう。クレソンと柑橘系のシンプルなジュース、家でもためしてみよう……。

oishiran

那須高原で乳製品を使ったスイーツが充実しているのは、近くに牧場があるからなのだろう。牧場に行く時間はなかったけど、気持ちいい季節にはまた行きたいなぁ。

牧場で思い出したのだけど、朝から一度も授乳していないせいで、私の胸は文字どおりはちきれそうに張ってしまった。こんなに長時間むすこと離れたのが初めてなので、焦る。そのあたりにいる赤ちゃんに「おっぱいいかがですか!!!」と客引きしたいレベル。

やっぱりまだ断乳はやめよう……とかたくなに決意する。この旅を機に断乳しようかと考えていたときは、旅が時間を一気に進めてしまうみたいで切なかった。でも、まだ1歳。絶対にいつ断乳しなければいけないなんて決まりはないし、3歳くらいになってもまだ卒乳しなかったら何か手立てを考えればいいじゃん。

そう思ったら、この旅が何の終わりでもなく、東京に戻ってもゆるやかな日常が続くことがうれしくて、すっと楽になった。

 

-To Be Contiued-

 

チーズガーデン五峰館
〒325-0001 栃木県那須郡那須町高久甲喰木原2888
TEL:0287-64-4848
FAX:0287-62-7075
http://cheesegarden.jp/

今月の旅のMAP

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この記事を書いた人

大石 蘭

大石 蘭  

1990年福岡県生まれ。東京大学教養学部・東京大学大学院修士過程修了。
少女文化と原宿が好き。大学在学中に雑誌『Spoon.』に掲載の自伝的短編エッセイ「そんなお洋服ばっかり着ていると、バカに見えるよ」が同年代の女子をはじめ、クリエイターの注目を集める。その後、雑誌・書籍などで本格的に執筆活動をはじめる。
2014年に初の著書『妄想娘、東大をめざす』(幻冬舎) を刊行。自身の大学受験エピソードを描いたコミックエッセイとして話題に。
2015年にフリーランス活動をスタートするとともに、結婚、出産。雑誌やWEBなどでエッセイ、イラストコラム、イラストレーションを執筆・制作しながら現在も活動中。一児の母。

ありきたりじゃない旅Guide

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