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ぶんこのモラトリアム旅行記 vol.1

クロアチアに行きたくて仕方がなかった私におきたセレンディピティ

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この連載は... 社会人2年目の夏休み。1年に1度は海外に行く、と決めている私が今年選んだ旅先はクロアチア&スロベニア。そこで私はとっくの前に提出済みの卒論のテーマに、再び出会うこととなる。「美しい街」って何だろう、自分にとって大切なものって何だろう…。答えは探し続けているとふとした場所で、突然やってくる。

bunciao

みなさん、「クロアチア」と言われてピンときますでしょうか。私は「クレームシュニッテ」というすごくふわっふわで美味らしいケーキが食べられる、ということだけは高校生のころから食いしん坊のプライドとして知っていましたが、その国が一体世界のどこにあるのかも、首都がどこかも、ついこの前まで全く知りませんでした。

イタリアの東に位置するクロアチア

行きたい理由は単純でした

弱小社会人2年目ながら、多少無理してでも1年に1度は必ず海外に行くと決めている私。今年の夏休み、選んだ旅先は、クロアチア。「夏休みはクロアチアに行ってきます!!」と意気揚々にいうと、「クロアチアってどこ?」「なんでまたそんなところに…」と言われることが想像以上に多かったです。

クロアチアに決めた理由とすれば、あまりにもミーハー心で恥ずかしいのですが、クロアチア随一の観光地ドゥブロヴニクが「魔女の宅急便」や「紅の豚」の舞台だと知ったから(舞台に関しては諸説あり。とにもかくにも、2作品とも自称ジブリマニアである私の特にお気に入りの作品)。爽やかすぎるアドリア海の青と、オレンジ屋根のコントラスト。「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」と言えるキキのように、私もあの風景に出会いたかったのです。

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今回の旅は旅行会社でパッケージングされた6泊8日のツアー。いつもは個人旅行の方が好きですが、効率的に観光地を回りたかったのと格安だったのでこのツアーに決めました。1日のうち移動時間が占める割合が多く、6泊にしてはかなり盛りだくさんのツアーで、最終日だけクロアチアの西に位置するスロベニアにも行けることになっていました。初めはツアーのオマケくらいに思っていたスロベニア。ガイドブックでは例の「クレームシュニッテ特集」ばかりを見て、スロベニアのページには目もくれなかった私が、まさかこの旅でスロベニアの街に心奪われることになろうとは…思ってもいませんでした。

ツアー序盤は、クロアチアの各都市を回り、久々のヨーロッパに胸が弾んで一日があっという間に過ぎていきました。16の湖と90を超える滝を誇るプリトヴィツェ湖群国立公園ではまるでモネの絵のような風景がそこら中にあったし、

(その後秋田のおばあちゃんに写真を送ったら「おばあちゃんちの裏の田沢湖に似てるね」と言われたけど…)

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湖のエメラルドグリーンが眩しいプリトヴィツェ

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水面からもくっきりと見えるマスたち

例の田沢湖の写真。国内旅行を考えている方は全国随一の速さで過疎化が進む秋田もぜひご検討ください。。

例の田沢湖の写真。国内旅行を考えている方は全国随一の速さで過疎化が進む秋田もぜひご検討ください・・・

今回の旅の目的でもあったドゥブロヴニクではどこかでポルコが飛んでいるような気がしたし、

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ケーブルカーで山に登って見た景色、絶景でした

bunciao

ずっと散歩していたい、城壁からの眺め

最終日、スロベニアに移動して訪れたポストイナ鍾乳洞では、自然によって生まれたコンサートホールのような空間をトロッコで駆け巡り、インディジョーンズのテーマを歌わずにはいられませんでした…。

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200万年もの時をかけて形成されたポストイナ鍾乳洞

スロベニアで卒論テーマにぶち当たる

突然ですが、私は大学時代、巷では「あそ文学部」とも囁かれる文学部に所属し(だけど当時私には確かにそこに学びたいことがあったし、決して遊んでばっかりいたわけではない、はず)、さらに卒業論文は「美しい街とは~記憶と忘却の視点から~」という何とも抽象的な題材を扱いました。「美しさ」なんて絶対的な答えがないもの。卒論はとっくの2年前に提出済みですが、東京でもどこでも街歩きが好きな私は今でも、新しい街に出会う度、ぐるぐると考えを巡らせてしまいます。そして私はスロベニアの首都リュブリャナでまた一歩、自分なりの答えに近づくことになります。

ポストイナ鍾乳洞から移動しリュブリャナにつくと、まず小高い丘の上に、9世紀に築かれてからずっと街を見守るリュブリャナ城が目に入ります。

bunciao

街を見守るリュブリャナ城

街の中心には、広場の名前の由来にもなっている、スロベニア最大の詩人、フランツェ・プレシェーレンの銅像が。プレシェーレンは生涯、ユリヤという女性を愛し続け、プレシェーレン像が向いている方角にユリヤの自宅があったそう。(一歩間違えれば相当図太いストーカーやん…とナンセンスなことを一瞬思ったけど、「詩人」って職業すごい)

街のど真ん中にこんな切なくも一途な愛の象徴があるなんて…憎いぜリュブリャナ。

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スロベニア最大の詩人、フランツェ・プレシェーレンの銅像

音楽は国境を超える、のか?

そして「これで最後のジェラートだからね」といいながら今回の旅で4回目のジェラートを買うと、何やら路上でカチャカチャと楽器を組み立て始めるおじちゃま達が。

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今回の旅最後のジェラート

そしてチューニングが始まると共にどんどん大きくなる人だかり。今か今かと待っていると、いきなり演奏は始まりました。「音楽は国境を越える」と口では言うけど、これ、本当です。誰からともなく始まる手拍子と、ジャズのテンポに合わせてダンスする子供達と大学生。ひとたび音楽が始まってしまえば、人種も年齢も性別も関係なく、そこにあるのはただただ幸せな時間に浸る人々の笑顔。

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街のど真ん中でいきなり始まるジャズの演奏

「音楽は音を楽しむもの」という至極当たり前で、だけど音楽の本質を教え続けてくれた吹奏楽部顧問の言葉を思い出さずにはいられませんでした(個人的な話で恐縮ですが、私は青春時代を吹奏楽に捧げた青空エールです)。最後は演奏者のおじちゃまも観客の私たちも皆で一緒になってブラボーと言い合い、メロディーが頭から離れなくって口ずさみながらホテルまで帰りました。

リュブリャナは、まさに私が探し求めていた「美しい街」だったのです。街の中心には幾年もの時を経て守られてきたお城、伝統建築をオマージュした大学校舎があり、その前の公園では、大学生カップルに交じってデートするご老人夫婦に、走り回る子供達が…。「絵にかいたような幸せってこういうことを言うんですね」とつぶやきたくなりました。

守られてきた歴史と、今を生きる人が共存する街には、どこからともなく「誇り」を感じます。そんな街は、他人が何を言ってもどうしようもないほどに、美しい。絵本に出てきそうなお城も、東京の眩いほどの夜景も、はたまた秋田の山々の風景も…もちろん景色として「美しい」と言えると思いますが、街を彩るものに人々の笑顔に勝るものはないのかもしれません。

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リュブリャナの街

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大学というより宮殿、と呼んだ方がふさわしいのではと思えるリュブリャナ大学

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夕暮れ時の橋と河。帰りたくない気持ちを一層切なくさせます

ただいま、すっぱくて愛おしい現実

 そんなこんなで、夢のような8日間は瞬く間に終わりました。成田に着いた瞬間、「ただいま現実」という具合に。ですが正直、夢から覚めるような切なさと一緒に、帰りを待ってくれている人がいる現実に安心したりもしてしまいます。そして、自分にとって大事なものって、家族と友達、お世話になった恩師や先輩に同期、あとは自分の命…と意外に少ないことに気づく。別にロストバゲージに遭ったって、ショックだけど生きていける。失うものはそんなにないのだから、もっと自分らしく頑張ろうって気になれます。

現実はキキの成長物語のようにうまくはいかないけれど、しょっぱい現実があるからこそ、大切な人と過ごす非日常的な時間は思いっきり甘味を感じられる(クッキー食べるならコーヒーも欲しい、のと一緒でしょうか…)。自分が足踏みしているときはなかなか答えに出会えなくてもどかしいけど、探し続けることをやめなければ答えはある時急にやってくるのかもしれません。スロベニアのリュブリャナのように。

今月の旅のMAP

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この記事を書いた人

bunciao

bunciao  

社会人2年目。秋田生まれの千葉育ち。幼き頃から東京の暮らしに憧れ、今まさに東京のOL生活を謳歌している。旅に出る度、「将来、ここで暮らそう…!」が口グセ。

ありきたりじゃない旅Guide

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