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カワイイ!だけじゃなかった動物島 vol.1

忘れられないのは「101匹ウサちゃん」よりも黒歴史。カワイイ!だけじゃなかったウサギ島

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この連載は... ウサギの島、シカの島、ネコの島……野生動物が大量に生息している島がある。表向きはカワイイ動物島だが、そんな島には必ずと言ってもいいほど、カワイイだけじゃないオモシロイ裏側があるのだった。

うさぎ島

101匹ウサちゃんの島

ウサギはさすがに耳がいい、の、だろうか。

ぼくが手にしたビニール袋がカサついただけで、駆け寄ってくること脱兎のごとし。逃げるための足は、人間からエサをもらうために進化している。ご注文はウサギですか? と言わんばかりにヒョコヒョコっと目の前にやってくると、ヒョッコリ後ろ足で立ち上がり、全身でおねだりしてくる。

うさぎ島

引っ掻いたり、咬んだりしない。前足をお行儀よくお辞儀させて、鼻をヒクヒク、口をハムハム。控えめに、しかし、お上手に「くれくれ」する姿に思わず心がピョンと弾む。

ぼくのビニール袋の中には、この島のために用意したキャベツが一玉。ウサギの目の前でチラつかせて、やっぱりあ~げない、と言いたくなるのは、日頃のストレスの「ウサばらし」か。

うさぎ島

サディスティックな気持ちをおさえて、キャベツを一枚、差し出してみる。すると、後ろ足で立ったままペリペリ、モグモグと食べはじめた。モリモリほっぺが超絶かわいい。

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

ウサギ島では、二兎を追う者は二兎を得る。

うさぎ島

うさぎ島

キャベツを奪いあってケンカが起きることもない。日本人のようなマナーと礼儀正しさは、外敵もおらず、食料に窮することもない、恵まれた環境によるものだろうか。

うさぎ島

おれにもくれくれ。たくさんのウサギたちが集まってくる。

うさぎ島

みんなで輪になってモグモグ。ケンカは起きないと書いたが、

うさぎ島

写真をよくよく見ると、まれに競争も起きているようだ。

うさぎ島

しかし、全体を見れば、シルバニアファミリーのような穏やかさ。

うさぎ島

しばし、ありあまる可愛さを堪能してほしい。

本題はその先にある

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

うさぎ島

ウサギ島の正式な名前は「大久野島」

うさぎ島

周囲わずか4kmの小さな島に、101匹どころではなく、約700匹もの「アナウサギ」が暮らしていて、その名の通り中途半端な穴を掘って、自分でハマってゴロゴロしている姿が島中で見られる。

うさぎ島

うさぎ島

島全体が休暇村ということもあって、リゾート施設やキャンプ場なども整っている平和な島。ウサギのフンも臭わないので、人間たちもあちらこちらでゴロゴロしている。

うさぎ島

しかし、それらはすべて表の顔。

その裏には意外な過去がある

 

地図から消された島

なぜ、これほど多くのウサギがいるのか。

有力なのは、とある小学校で飼われていた8匹のウサギが放たれて野生化したという説。しかし、もうひとつ。「毒ガス実験」に使われていたウサギが、終戦、撤退とともに放置され、異常繁殖したという俗説がある。

うさぎ島

歴史をさかのぼろう。かつての大久野島は、瀬戸内海に浮かぶ小さな農村だった。しかし、日清戦争が起きると、数々の砲台が設置されることとなる。結局、砲台が使われることはなかったが、1927年に毒ガス兵器の開発拠点に選ばれると、日本の毒ガス兵器の約8割が大久野島で作られるほどになった。そして、実際に海外で使用された。

うさぎ島

これらの事実は、第二次世界大戦後、アメリカによって明らかにされた。毒ガス兵器を禁止するハーグ宣言でサインをした日本だが、秘密裏に毒ガスの開発を続けていたのである。だからこそ、大久野島は地図から消され、対外的には存在しない島となっていた。

うさぎ島

その責任については、東京裁判で裁かれるはずだったが、政治戦略によって訴訟にもならず追求は中止された。島に残存していた毒ガス兵器、および開発施設は、アメリカ主導で徹底的に廃棄されたが、現在でも地下からヒ素が検出されるなどしている。

それだけではない。中国には今も不発弾が残されている。廃品回収した缶から毒が漏れ出して死亡する、水道管を掘っていると爆発して大怪我を負うなど、いまだ問題は、兎の毛でついたほども片付いていないのである。

うさぎ島

現在の大久野島には、そういった歴史を包み隠さず後世に伝えていこうとする資料館があり、砲台跡や毒ガス貯蔵庫の跡地も残されている。

うさぎ島

お気づきだろうか。兎に角、すべての写真にウサギが写り込んでいる。真面目な話をしていても画面が引き締まらないほどである。ウサギと廃墟。表と裏。この光景の背景こそが、大久野島でしか見られないものなのかもしれない。

うさぎ島

烏兎匆匆。朝の便で島に着いても、あっという間に夕方である。昼間は日陰でゴロゴロしていたウサギたちも、より一層、元気におねだりをはじめるそのとき。あなたは何を思うだろうか。

 

◆休暇村大久野島
〒729-2311 広島県竹原市忠海町大久野島
TEL: 0846-26-0321
FAX: 0846-26-0323
http://www.qkamura.or.jp/ohkuno/

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この記事を書いた人

志賀 章人

志賀 章人  

「え?」が「お!」になるのがコピーです。旅ライターである前に、コピーライターとして核を書くことで、言葉にならない想いを言葉にすること。旅を企画から考えて「メッセージのある旅」をすることを目指しています。かつては、京都→香川→大阪→横浜で生まれ育ち、大学時代にバックパッカーでユーラシア大陸を横断。Webサイト「TRAVERING」を立ち上げ「留年バックパッカー」「手ぶらでインド」「オガシェアラ!」など発信中。「未知の細道(NEXCO東日本)」「Travelers Box」「未来住まい方会議byYADOKARI」など連載多数。そのほかシェアハウス歴10年、過去に観た映画1000本、アニメ200作品以上。

ありきたりじゃない旅Guide

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